テクノロジーの革新的進展や保安人材の枯渇、電力・ガスの供給構造の変化等、産業保安を巡る様々な環境変化に対応するため、産業構造審議会(経済産業相の諮問機関)の保安・消費生活用製品安全分科会の下部に、本年2月に「産業保安基本制度小委員会」が設置され、産業保安に係る規制体系のあり方について、8回の議論が行われてきました。

 その後、12月17日に開催された保安・消費生活用製品安全分科会において、「産業保安分野における当面の制度化に向けた取組と今後の重要課題」が議論・了承され、12月21日に、電気分野等の産業保安の制度変更に向けた報告書が公表されました。
産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 報告書(METI/経済産業省)

 今後の産業保安に係る基本的な制度体系のあり方のポイントとしては、以下のとおりです。

  • 現行の画一的な個別・事前規制から、リスクに応じて規制の強度を変える柔軟でメリハリのある制度体系へ移行
  • テクノロジーを活用しつつ、自立的に高度な保安を確保できる事業者は、自己管理型の保安へ移行
  • 小出力発電設備(50kW未満の太陽光発電設備、20kW未満の風力発電設備)の実態を踏まえた保安規律の適正化
  • 水素・アンモニアを発電用燃料として活用することを見据えた保安規制の整備
  • 風力発電設備の技術基準への適合性確認審査の迅速化

 一般送配電事業者は、少子高齢化に伴う保安人材の不足、高経年設備の増加、再生可能エネルギー発電設備連系拡大など、保安業務に係る多くの課題を抱えていますが、引き続き新たな技術を活用し、更なる保安業務の高度化・効率化を図り、電力の安定供給に努めてまいります。