一般送配電事業者が所有する送配電設備の多くは、1960~70年代の高度成長期以降に大量に建設されており、今後、本格的に高経年対策を要する時期を迎えることから、計画的に更新していく必要があります。一方で、一般送配電事業者の設備維持・更新に係る費用は託送料金として電気料金に転嫁され、電気の利用者の皆さまから広く回収することとなるため、負担抑制の観点から適切かつ合理的な設備更新が求められます。

図1.jpg鉄塔の物量分布

図2.jpg

変圧器の物量分布
(出典:広域系統長期方針(平成29年3月))

 各一般送配電事業者は従来より巡視・点検による設備状態の把握や、設備の劣化診断等を基に、設備の劣化状況を適切に見極めるとともに、設備の経年分布や中長期的な施工力も考慮した上で設備更新の優先度を判断し、計画的かつ効率的な設備更新を行っております。

 今般、送配電設備の更新の考え方や手法の統一および適切かつ合理的な更新に対する説明性の向上を目的に、設備が有するリスク量の標準的な算定方法や設備更新に係る工事物量算定の基本的な考え方を定めた「高経年化設備更新ガイドライン」が電力広域的運営推進機関により策定され、2021年12月17日に公表されました。

 本ガイドラインにおいて、設備が有するリスク量は、これまで一般送配電事業者が蓄積してきたデータや知見(環境・使用状況による影響、点検・測定結果、過去の故障実績等)を考慮して算出する設備の故障確率と、その故障が起きた場合の影響の積として定義され、設備更新の優先度を検討するための指標として活用されることとなります。

 今後、一般送配電事業者は、各社の経験や知見に加え、本ガイドラインに基づいた標準的な設備のリスク評価方法から算定されるリスク量も考慮して設備更新の優先度を判断のうえ、適切かつ合理的な設備更新を行い、託送料金の抑制と電力の安定供給に努めて参ります。

 「高経年化設備更新ガイドライン」の詳細については電力広域的運営推進機関ホームページをご参照ください。

 高経年化設備更新ガイドラインの策定および公表について | 広域系統長期方針・整備計画 | 電力広域的運営推進機関ホームページ