2021年10月に公表されたエネルギー基本計画において、2050年カーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギー(以下、再エネ)については、主力電源として最優先の原則のもとで最大限の導入に取り組むこととされ、2030年には、電源構成における再エネの比率を、2019年時点の18%程度から、36~38%程度に引き上げる目標が示されました。
 一般送配電事業者においては、国のエネルギー政策に則り、再エネ拡大に向け、以下のような様々な取り組みを行っております。

 <再エネ導入拡大に向けた主な取り組み>
 ・系統情報の公開(空き容量マップの公開)
 ・既存設備の活用による連系可能量の拡大
 ・地域間連系設備の増強
 ・電気の流れの変化に対応するための変電所等の設備対策工事の実施 等

 一方、再エネ導入拡大に伴い、電気の消費量が少ない時期に余剰電力が発生したり、将来的に火力発電等の同期電源が持つ慣性力や同期化力が減少するといった系統上の技術的な課題が指摘されています。
 これらの内容や課題への対応については、以前の「知っトク!送配電」に掲載しておりますので、ご参照下さい。
 (参考:再生可能エネルギーの最大限の利用に向けた取組み)
   /information/2021/08/16_1610.html
 
(参考:同期電源の減少に起因する技術的課題)
   /information/2021/06/16_1600.html

 また、系統上の問題に限らず、再エネ導入拡大に伴う、再エネ発電事業者の増加により、一部のエリアでは以下のような課題も顕在化しており、内容について、本年6月に開催された、国の「再生可能エネルギー発電の適正な導入および管理のあり方に関する検討会」において、弊会より説明させて頂いております。

 <再エネ導入拡大に伴う工事・保全・運用面の主な課題>
 ・事業者都合による工期変更多発に伴う、工事工程調整(施工力調整)の困難化
 ・昼間帯での作業停電の困難化、夜間作業に伴う工事コストの増加
 ・一般送配電事業者との取り決めに反する機器誤操作に伴う停電・災害発生の虞  等
 (出典:「第4回再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」(経済産業省)資料2 004_02_00.pdf (meti.go.jp

 今後、再エネ導入を更に拡大していくためには、上記のような課題の解決に向けた再エネ発電事業者さまの一層のご理解・ご協力が不可欠となります。
 また、一般送配電事業者においては、再エネ発電事業者さまに対して、ご理解・ご協力を頂くため、工期変更時の工程調整への協力や、昼間帯での停電作業への協力のお願い等の取組みを引き続き進めて参ります。
 今後、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、一般送配電事業者は、再エネ発電事業者さまのご協力のもと、更なる再エネ導入の拡大に貢献して参ります。